キントキダイ科(学名:Priacanthidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群(科)の一つ。キントキダイ・クルマダイなど、大きな眼が特徴の食用種を中心に4属19種が含まれる。

分布・生態

すべて海水魚で、太平洋・インド洋・大西洋など世界中の熱帯・亜熱帯域の海に分布する。4属19種からなる比較的小さなグループであるが、食用として利用される水産上重要な種が多く所属し、釣り・刺網・底引き網などさまざまな方法で漁獲される。日本近海からは南日本の太平洋岸を中心に、4属11種が報告されている。

一般に肉食性で小魚や甲殻類を捕食し、その多くは夜行性である。岩礁やサンゴ礁の周辺を遊泳する底生魚で、ほとんどの種が水深数十mから200mまでの範囲で生活しているが、チカメキントキなど水深300-400m付近の深海まで分布するものもいる。卵は浮性卵で、仔魚は表層を漂って生活する。

形態

眼球が非常に大きいことが最大の特徴である。左右に平たい(側扁した)いわゆる鯛型の体型をもち、鮮やかな赤い体色の種が多い。口は大きく、斜め上向きにつく。体長30cm未満の種が多いが、最大種(チカメキントキ)は全長69cmにまで成長する。眼球の輝板(タペタム)の構造が、真骨類としては特徴的なものとなっている。

背鰭は1つで、10本の棘条と11-15本の軟条で構成される。臀鰭の棘条と軟条はそれぞれ3本と10-16本で、背鰭・臀鰭の軟条部はほぼ同じ長さとなる。尾鰭の主鰭条は16本でうち14本は分枝し、形態は円みを帯びるものからやや凹型までさまざま。腹鰭の内側の鰭条は、薄い膜によって体部と接続する。

鱗は円鱗だが強いトゲ状の構造をもち剥がれにくく、頭部および鰓膜上にも存在する。椎骨の数は23個と、スズキ亜目の中では非常に少ない部類に含められる。

分類

Nelson(2016)の体系において、4属19種が認められている。

  • キントキダイ属 Priacanthus
    • アカネキントキ Priacanthus blochii
    • ウスベニキントキ Priacanthus fitchi
    • キビレキントキ Priacanthus zaiserae
    • キントキダイ Priacanthus macracanthus
    • ホウセキキントキ Priacanthus hamrur
    • ミナミキントキ Priacanthus sagittarius
    • Priacanthus alalaua
    • Priacanthus arenatus
    • Priacanthus meeki
    • Priacanthus nasca
    • Priacanthus prolixus
    • Priacanthus tayenus
  • クルマダイ属 Pristigenys
    • オキナワクルマダイ Pristigenys meyeri
    • クルマダイ Pristigenys niphonia
    • ミナミクルマダイ Pristigenys refulgens
    • Pristigenys alta
    • Pristigenys serrula
  • ゴマヒレキントキ属 Heteropriacanthus
    • ゴマヒレキントキ Heteropriacanthus cruentatus
  • チカメキントキ属 Cookeolus
    • チカメキントキ Cookeolus japonicus

出典・脚注

参考文献

  • Joseph S. Nelson, Terry C. Grande, Mark V.H. Wilson 『Fishes of the World Fifth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2016年 ISBN 978-1-118-34233-6
  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Second Edition』 Wiley & Sons, Inc. 1984年 ISBN 0-471-86475-7
  • 岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2
  • 中坊徹次編 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 東海大学出版会 2013年 ISBN 978-4-486-01804-9

外部リンク


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