シタール(ヒンディー語:सितार、英語:sitar)は、北インド発祥の弦楽器。民族楽器の一つ。

語源

シタールという言葉は、サンスクリット語のsaptatantri veena(七弦のヴィーナ)から派生し、後にsaat taar(saatは「七」、taarは「金属の弦」)と呼ばれるようになり、最終的に「シタール」となったとされる。

また別の出典によると、ペルシア語のセタール(سه‌تار :三弦)が語源とされている。

概要

伝統的なシタールは19弦で、棹は長さが約90cmで約20個の金属製のフレットが結びつけられている。フレットの上には約7本の金属製の演奏弦が張られており、左手の指で弦を押さえミンドという奏法(チョーキング)により1フレットにつき4-5度音をだす。右手指先に付ける金属製の爪のミズラブ(ミズラーブとも呼ばれる)で弦をはじいて演奏する(撥弦楽器)。フレットの下には約12-16本の共鳴弦が張られている。
そのため、ギターと似たような仕様で作られているエレクトリック・シタールとは、趣きの異なるものである。共鳴胴は通常ヒョウタン、もしくはユウガオの実(カンピョウの原料)を乾燥させたもので作られる(カボチャや木製、まれに真鍮製のものも同)。また胴体とは別に、棹の上部にも同サイズかやや小振りの共鳴器が付くが、これなども他の多くの撥弦楽器(リュート、ウード、ギターなど)とは異なる特徴と言える。

13世紀から14世紀にかけて活動した音楽家、アミール・ホスローが、シタール的な楽器を使用したと記録されている。独特のミュートのかかった倍音の豊かな音色(フラジオレット、第一ヘルムホルツ運動→第二ヘルムホルツ運動)は、「ジュワリ」という骨製(木製)の駒でつくられている。標準的な調弦は六弦を使ったRaga yamanにおいて、G D F# A D Dである。

伝統的なインド民俗音楽や、インドのポピュラー音楽でも使用されるが、1960年代半ばからは、後記の通り、ビートルズのジョージ・ハリスン、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズらが使用したため、ロック・ファンにもよく知られる楽器になった。ちなみに、ウッドストックでも演奏したインド人シタール奏者のラヴィ・シャンカルは、ジョージ・ハリスンのシタールの師匠である。なお、キンクスとバーズの65年の曲で、シタールと混同しやすい音が聴けるが、実際にはシタールを使用していない。

日本のフォーク、ロックでは、ガロのMARKこと堀内護が、「姫鏡台」でシタールを演奏した。この他、Dir en greyのギタリスト・薫 などが使用している。

主な楽曲

  • 「ノルウェーの森」「ラヴ・ユー・トゥ」「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」- ビートルズ
  • 「黒くぬれ!」「ストリート・ファイティング・マン」 - ローリング・ストーンズ
  • 「ジ・エンド」 - ザ・ドアーズ
  • 「涙をとどけて」 - スティーヴィー・ワンダー
  • 「ペイパー・サン」「ホール・イン・マイ・シュー」 - トラフィック
  • 「ドゥ・イット・アゲイン」 - スティーリー・ダン(1972)
  • 「ゴールド・ダスト・ウーマン」 - フリートウッド・マック(1977)
  • 「シタール協奏曲第1番」- ラヴィ・シャンカル

著名なシタール奏者

職業演奏家と、過去に演奏した著名人

  • ラヴィ・シャンカル
  • アヌシュカー・シャンカル
  • ハリハール・ラオ
  • Shambhu Das
  • アミット・ロイ
  • ブライアン・ジョーンズ
  • ジョージ・ハリスン
  • デイヴ・メイソン
  • スティーヴ・ハウ
  • コリン・ウォルコット
  • イングヴェイ・マルムスティーン
  • ジミー・ペイジ
  • 堀内護(MARK)
  • 岸部一徳
  • 町屋(和楽器バンド)
  • 安部俊幸

ギャラリー

脚注

関連項目

  • ミック・ジャガー
  • キース・リチャード

外部リンク

  • 天竺音楽入門データベース
  • 北インド古典音楽の詳しい紹介(raag-hindustani.com)
  • 北インド古典音楽の音階、リズムなどのデータベース (www.swarganga.org)

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